ホタルのふるさと瀬上沢基金より
【3】 改めて訴える! ―――― 再浮上した開発計画 (2011/9/16)
1: 守ろう、瀬上沢の大切な緑と里山
瀬上沢は、横浜南部円海山の麓に広がり、里山や田んぼとたくさんの遺跡が残る、33haの大変貴重な緑地。開発計画地域は三浦丘陵の北端に位置し、円海山から鎌倉、三浦へと連続したグリーンベルトの玄関口である。
JR港南台駅から徒歩20分、初めて瀬上沢に来た人は、その緑と懐かしい里山の雰囲気に「横浜にこんな所がまだあったのか!」と一様に驚く。
豊かな自然は、市内最大のホタルの自生地となり、四季折々の木々や草花を楽しむことが出来る。豊かな生態系の証明として、横浜栄高校の久保先生は円海山域の昆虫調査30年間で4,500種を確認しており、更に調査すれば6,000種に達するであろうと言われている。
この一帯は極めて教育的価値の高い、縄文遺跡、古代製鉄あと、横穴墓、横堰、銃眼遺跡、貝化石、古道などの貴重な文化遺産が集中している。
緑地の破壊を伴う開発が行われれば、多くの生態系とそこに生息する“命”や文化遺産が失われる。 失われたものは、永久に戻らない。
2: 再び・・,緑地破壊を伴う開発計画が再燃!
平成18年、この瀬上沢一帯を市街化区域に変更し、大規模商業施設とマンション及び宅地化する計画が、現事業者東急建設から都市計画提案された。
この計画は、貴重な緑を破壊してまでの宅地化、商業施設化の提案であるが、9万人を超える市民の反対署名のもと、却下された。(H20年)
市が示したこの提案に対する評価判断の中には納得出来ないものもあるが、基本的に緑を守った判断であった。
しかし、東急建設はこの瀬上沢地区での開発計画提案を再び準備し、平成23年4月から横浜市と事前相談を開始したことが明らかになった。
まだ詳細は明らかにされていないが、”前回よりは規模を縮小しての、まちづくり提案”となる模様。東側の宅地開発を縮小するが、大幅な自然破壊には変わりない。
前回却下理由の抜け道を模索し、新たな“配慮”を取引材料に計画しているのであろう。
いずれにしろ、緑を破壊してまでの新たな街は、もういらない。
3: “都市計画提案制度”を利用した業者側からの開発事業
“都市計画提案制度”は、行政主導でない、民意を反映したまちづくりが進められる事を期待したものであるが、大企業にとって都合のいいように用途・容積率などの緩和を提案される事が危惧されていた。
現実に、この制度の適用事例の大部分は開発事業者による事業提案であり、市民、NPOレベルの声はほとんど反映されていない。
今まで都市計画で“市街化調整区域”に指定されてきた為、かろうじて守られてきた緑と里山を、“一事業”の為に削ろうという“瀬上沢開発提案”も、この例そのもの。
いま、この瀬上沢地域の緑を破壊してまで新たな街を作る”都市計画提案”が、行政としての横浜市にどんなメリットをもたらすのか?
“環境行動都市”を掲げる市の方針に逆行し、将来に渡って行政コストを増すに違いない。
むしろ、緑地として立派に活用保全し次の世代に引き継いでいける“都市計画”を、市民と共に実行しよう。
地権者,事業者の権利を守る為には、市による買いとり、代替地の等価交換など現実的方法があるはず。
例えば、すぐ近くにある大規模な公務員住宅では、空室率が30~50%という現状。かつて毎年200万人を超える子供が生まれていた時代に、更に増えることを予想して用意されていた学校用地は、出生数が半分になった今も40年間空き地のまま。
緑と環境保全の重要さがより認識されている今、かろうじて残されて来た瀬上沢地区の緑を削ってまでの ”街づくり”の為の”都市計画提案”は、基本的に誤っている。
正しい判断のもとに、この提案が取り下げ又は却下されるよう強く訴えていく。
4: 横浜市の環境行政、環境行動
いまや地球規模で現実のものとなっている温暖化の危機、地球市民としての行動が求められている。また生物多様性(=あらゆる生き物のつながり)保全の重要性も国際条約に盛り込まれ、自然保護、環境保護の取り組みが世界の国々で実施されている。
大都市、横浜市においては、G-30でゴミ減量を達成し、続くCO-DO30計画/スリムプランで大幅なCO2削減や環境負荷の低減をねらい、環境モデル都市に指定された。
また、みどりアップ計画、150万本植樹計画、みどり税創設、ヨコハマbプランなどで、緑を増やす様々な計画、施策が立てられ実施されている。
ヨコハマbプランでは、瀬上沢西の森を含む横浜南部の緑地帯を“つながりの森”として生物多様性の保全と活用が重点施策として盛り込まれている。
前回の開発提案に対し、90,000人余の署名で示された市民の強い反対意志=瀬上沢保全への強い願い は明らかである。
示され続けている、瀬上沢の緑を守ろうという多くの市民の切実な声と、
”市内の水と緑を守る”環境重視の横浜市の基本的施策を元に、
正しい判断と緑保全への積極的リーダーシップを切に願う。
5: みんなの力で、大切な緑を後生に残そう! ―――― 私達は訴える
行政関連部門及び市長には、これ以上横浜から緑を減らさない確固たる方針の下、正しい判断と緑保全への積極的リーダーシップをとる様、強く働きかける。
市民を代表する市会、県会議員の方々には、民意の反映である瀬上沢の全面保全を、真剣に検討されるよう要請する。
新聞、ラジオ、NETなどメディアの方々には、この”瀬上沢・再びの危機”に注目頂いて、その情報が多くの市民に共有されるよう絶大な協力をお願いする。
地権者の皆さんには、長く守られてきた瀬上沢の里山と緑を“子孫と全市民の為に後世に残す事”に、英断とご協力頂けるようお願いする。
私達、“ホタルのふるさと瀬上沢基金”は、これら各方面への働きかけを積極的に進めると共に、日常の様々な活動に於いても、瀬上沢の危機と保全を強く訴えて行きます。
自然を守りたいと思っていても何もしなければ、開発による自然の破壊に対し
“沈黙の合意”をした事になってしまいます。
“お金を出し合ってでも、守りたい”という私達の強い意志を形にするため、多くの皆様の会員登録や寄付での参加、ご協力が必要です。
一万人の参加を目標に日々活動しています。皆様の絶大なご支援をお願い致します。
皆さん、私達の大切な緑の里山を子供達の世代に残しましょう!
平成23年9月 NPO法人 ホタルのふるさと瀬上沢基金
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